奥美濃・千回沢~千回沢山

2010年5月29日(土)夜~31日(月)

パーティー:単独

コースタイム:ホハレ峠6:45~渡渉点8:00~9:00門入~9:10入谷分岐~10:15千回沢出合10:35~16:00 676m二俣(泊)5:45~9:15稜線~9:50千回沢山~二俣12:00~14:00千回沢出合~入谷分岐~15:05門入~17:15ホハレ峠

<はじめに>

 徳山村奥の門入村より名渓・金ヶ丸谷を遡行したのは、14年前だった。後日公開された映画「ふるさと」で描かれたとおりの滋味溢れる樹林と渓流であった。その後、徳山ダムの満水により孤立化しても、なお住み続ける人々がいることを知った。より純度が増した自然に期待して再訪することにした。

<5月30日>

 ホハレ峠のお地蔵さんにお参りしてから黒谷左岸をからむ山道を下って行く。左岸にでかいデブリがあるところで、右岸へ渡渉するのだが、すぐ下流の堰堤上を熊がおそるおそる右方へ渡って行った。

 

 まもなく林道に出て、門入在住の広瀬さんに出会う。ちょうど塩漬けにするアザミの葉を採集されたところだった。ひっそりと静まりかえった門入村では村人2人が畑作業をしていた。

 自然に還りつつある入谷沿いの林道を奥へ進む。終点(対岸に鉱山小屋廃屋のあるところ)から折り返すように河原に下る。

 

 中の谷遡行・千回沢下降の予定だったが、遡行としての興味は薄れるが、難度・時刻・釣楽度を勘案し、千回沢よりのピストンに変更する。沢タビに履き替え、すぐの小滝を越え、両岸の林間のかそけき踏み跡を活用しながら遡行してゆくと、淵のある小滝があった。

 

 おもむろに竿を出し、行きしなに釣具屋で買ったブドウ虫の箱を開ける。ガ~ン、全部干からびて死んでいる。そんなブドウ虫は見向きもされない。気を取り直して、川虫を探すがなかなか見つからない。意気消沈、あきらめて左から巻いて進むと、右から滝をかけて支流が合流してくる。本流の小滝を左から巻いて進むと、よさげな淵がある。なんとか捕まえた一匹の川虫で、ささやかではあるが、今晩のおかず一匹をゲットできた。坦々と進むが、ペースが上がらず676m二俣にて、ツェルトを張る。塩焼きと骨酒をお供にささやかな夕餉。

 

<5月31日>

 あまり意気が上がらないが、ここで引き返すのでは早過ぎるので、山頂へ向かうことにする。ミニゴルジュのちょっとしたヘツリもあったが、昨日同様に坦々と進む。流れが細くなってくると、スノーブリッジとまではゆかないが、デブリが次々と現れ、周囲には山菜が芽吹いている。おみやげがわりに、タラの芽・ウド・ワラビ・コゴミ・ゼンマイ、そしてワサビ(写真右下)を少しづつ採る。

 

 

 あくまで本流を詰め、小滝を3つくらい越えるとブッシュに突入。まもなく稜線に漕ぎ出るが踏み跡は皆無。ロープをツェルトに置いてきたので、枝折・カメラ・テープなどで帰路に備えながら進む。山頂らしきコブは見えてきたが、タイムリミットかと、一旦は断念するが、頑張って漕ぐと案外早く到達できた。山名板などはなく三角点のみの千回沢(せんがさわ)山山頂1246m。南方の蕎麦粒山(そむぎやま)を始め、奥美濃の名峰が取り巻いている。

 往路を外さぬよう慎重に戻る。小滝もブッシュにつかまって難なく下る。どんどん下って右にカツラの巨木を見るとすぐ二俣に帰着。

 

 荷物をまとめて、ひたすら往路を戻る。門入村からホハレ峠への登り返しは緩やかだったが、私の足には堪えた。お地蔵さんにただいまを言って、車に戻ると紙片が挟んであった。

<おわりに>

 ホハレ峠越えがある分、3日かけてじっくりと味わいたい山域である。私の頭の中では既に今秋のプランが出来上がっている。




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