ヨーロッパアルプス・ブライトホルン~シュバルツ氷河スキーツアー

1999年3月14日

パーティー:L私、家内

<はじめに>

後半のオートルートの足慣らしも兼ねて、5日間のツェルマット滞在中、1日は4000m峰にスキー登山しようと決めていた。ガイド事務所では「モンテローザ日帰り」を勧められたが、家内が「全然トレーニングしてないのに、無理や」と盛んに主張するので、弱気になって「ブライトホルン日帰り」に妥協してしまった。ちなみに「モンテローザ日帰り」は、「ヘリで中腹まで、シールで稜線まで、アイゼン・ピッケルで登頂、帰路おいしい斜面をヘリ3ラン」というものである。「ブライトホルン日帰り」はブライトホルン登頂後、シュバルツ・ゴルナー両氷河経由で、ツェルマットの町まで滑るプランであり、「ブライトホルン~シュバルツトー」の名称でガイド事務所主催のツアーが毎週催行されている。

<3月14日>晴れ

ゴンドラ乗り場でガイドと落ち合う。アイゼンは、ガイド事務所の近くのスポーツ用品店でレンタルして持参したのに、ガイドは氷河滑降のみだと勘違いしていたらしく、アイゼンを持っていなかった。また、事務所ではそういう話はなかったのに、「ハーネス・ビーコンが必要だ」と言う。どうも、事務所とガイドとの連絡がうまくついていなかったようだ。そのせいかガイドが不機嫌な表情だったのでどうなることやらと思ったが、途中のスキーパトロール事務所ですべて借用でき、やれやれ。ハーネス・ビーコンのレンタル料が節約できたから、まあいいか。

さて、ゴンドラを3本乗り継ぐと、そこは富士山より高いクライネ・マッターホルンだ。トンネルの中で、ハーネス・ビーコンを装着し、トンネルを出た雪面でスキーを履く。ガイドの装備は、板(ダイナスターエクストリーム)、締め具(ジルブレッタ400)、靴(ノルディカTR9)。ガイドが黙って歩き始めるので、遅れないように後を追うが、どんどん引き離される。ごく緩斜面なのに妙に足が前に出ない。高度のせいかな?

ブライトホルンの中腹でスキーデポし、アイゼンを付ける。ガイドとアンザイレンし、ストックを両手についてジグザグ登高を繰り返し、山頂右方の稜線に出る。さらに稜線通し行くが、ついにはナイフリッジとなる。とくにゴルナー氷河側はすっぱり切れ落ちていて、おまけにところどころ氷化していて、アイゼンの爪が先っちょしか刺さらず、よく刺さらぬストック両手に、おおいに腰が引けてしまう。ピッケルが欲しいところだ。ブライトホルンにナイフリッジがあるなんて聞いたことなかったぞ!?まあ、100mほどで無事終了し、頂上!!

ガイドと記念写真におさまる。マッターホルンをはじめとするバリスアルプスの4000m峰群はもとより、はるかモンブラン・ユングフラウまで、360度大展望を満喫する。「雄大」の一語に尽きる。

さて、再びナイフリッジをおっかなびっくり渡り、どんどん下って、スキーデポへ。「follow my truck!」と注意を受け、滑降開始。数ターンののち、イタリア側を大トラバースし、

少し登ってシュバルツトーへ。「トー」とは「峠」「コル」の意味か?いよいよシュバルツ氷河滑降だ。はじめは快調にガイドの後を追ってゆく。中程で、セラック帯をおっかなびっくりトラバースする。下にはクレバス、上にはセラック、「写真を撮ったら、速やかに通過せよ」との仰せだ。

その頃より、一変してモナカ雪となる。ガイドはベンディング(屈伸抜重)で巧みにパラレルターンを刻んで行くが、我々(特に私)はトレースを辿るのが精一杯。平坦なゴルナー氷河に降り立ったらほっとした。家内はガイドに「you are good skier」と誉められて喜んでいる。モンテローザ、リスカムなど見上げながら大休止。

さて、緩いゴルナー氷河の快適なクルージング開始。ご機嫌でガイドを追っていたら、いつしかゴルジュに突入し、アイスフォール出現!!左急斜面を横滑りで慎重に下る。下方には、恒例ツアーの若者約10人がおなじく横滑り。正直言ってここでこけるのはかなりやばい。ついにはスキーが露岩にガリガリいって険悪だったが、無事アイスフォール下に降り立つ。再び緩い谷底をクルージングし、林道らしきところを快適に飛ばし、橋を2つ渡って、少し登ると、スキー場のコースに合流。しかし、林道だ橋だと気楽に飛ばして通過したが、振り返って覗き込むと、底無しのゴルジュだ。ガードレールなども無く、もし落ち込めば命はないだろう。

フーリのレストハウスにて休憩し、ガイドに支払いを済ませ、ツェルマットに滑り込んだ。

<ルート図>


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